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満洲サマンの鳥

天と人をつなぎ

霊性を重んじる伝統と文化が

今、滅びようとしている

 

(サマン=シャーマン)

中国史上最も広大な領土を誇った最後の王朝である清帝国。ベルトルッチ監督の映画『ラスト・エンペラー』では、絢爛豪華な宮廷文化が描かれ、強いイメージを残した。

この清帝国を築いたのが満洲族であり、現在の人口は約1.100万人。消滅の危機にある文化遺産の一つとも言われる満洲語をネイティブで話せる人は、もはや10数名となった。また彼らの信仰であるシャーマニズムの伝統、サマンの儀式や祭りも、限られた僅かな村に残るばかりとなった。そこでは、サマンたちが次世代へ繋ぐ祈りが行われている。

サマン太鼓のリズムが人類の原点の記憶を呼び覚ます!

この作品は、満洲人の父と日本人の母を持ち、音楽家でもある監督自身がカメラを手に、失われゆく貴重な満洲文化の伝承に奮闘する人々の姿を追い求め、中国各地を旅する。壮大な自然、儀式でサマンが天に祈る姿、神聖な境界へと導く太鼓のリズム。皆が感謝に満ちる瞬間。生き生きとした神歌や踊り。受け継がれた精神を語る穏やかな表情も映し出す。そのサマン太鼓の響きが人類の原点にある記憶を呼び覚ましてくれるのだ。

時代は「天地人」を繋げる力を必要としている

混沌とした現在社会において、シャーマニズムは、人間の霊性を維持し、その見えない世界において新しい知恵となり得るのではないか。時代は「天地人」を繋げる力を必要としている。自己のアイデンティティーを知り、自民族の文化の魂や精神を探求することが、あらゆる文化の理解を深める上で非常に重要なことであると考えられる。また、この映画は、それぞれの固有の文化を後世に遺すため、伝承や継続に関わるすべての民族世界への警鐘となり得るかも知れない。

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